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カフェ辞苑

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2006年 01月 14日

【ガクシャとゲイシャ】

…あるレベルにまで達した者は、業にかかわらず、人の心を引きつけ
るということ。
<例のコラム>
 金沢に行ってきました。「医薬農工連携促進セミナー」という一度
聞いただけでは家づくりとは無縁とも思えるセミナーに参加するため
です。
 実はそこで九州大学の高木厚司先生が「生活環境に潜む健康被害の
リスクとその対策」という講演をされたのですが、これが快適な住ま
いづくりに大いに関係しているのです。
 高木先生は遺伝子が酸化損傷していく現象を単一の指標とする実験
方法を発明されたドクターですが、この実験方法を使えば、住宅に使
用される素材を、「体にいい影響を与えるか否か」で見分けることが
できるのです。住宅の中で複合的に作り出される水や空気も、それが
遺伝子に影響を与えるものであるかどうかという極めて繊細なレベル
で調査することができるのです。
 僕はこの実験方法を用いて「室内の空気環境を考える研究会」のよ
うな運動体ができないかと思っています。そこで、このセミナーのこ
とを話し、ぜひ参加したいとおっしゃった珪藻土メーカーの方にも来
ていただきました。
 講演は高木先生の他に国立循環器病センタ−の萬代隆先生も行われ
ました。演題は「クオリティ オブ ライフ(QOL)の評価の進め方」。
QOLという「人生や生活の質や価値観」における満足度という視点を
医療の現場に入れるというものですが、これもまた建築家との家づく
りにおける満足度という観点と重なるものでした。
 いずれの講演もユーモアと人間味にあふれ、知的好奇心を刺激する
ものでした。話している先生方も、どこかしら得意気で、実に楽しそ
うなのです。
 医療の現場で働かれている先生方(学者)の話を聞きながら、知的
好奇心が満たされていくと、僕はふと、「ガクシャとゲイシャ」とい
う言葉に辿り着きました。
 セミナーに参加する前に古都金沢を代表する「ひがし茶屋街」を散
策したからかもしれません。石畳の路には格子の町屋が連なり、暖簾
をおして白塗りの芸者さんが登場するイメージを引きずったまま講演
にのぞんだのでしょう。
 学者は学問で人を感動させ、芸者は芸能で人を酔わせます。学と芸
の違いはあれ、あるレベルにまで達した者は、その持てる技で人の心
を引きつけるのです。
 ユーモアあふれる学者たちの話しっぷりはガクシャとなって僕の心
にゲイシャを想起させました。
 こんな不思議な想像が起るのは、金沢が伝統芸能と高度な職人技術
を宿す町だからでしょうか。
 鼓の調べ緒を柱に見立た金沢駅前の『鼓門』が、そんな金沢の不思
議な魅力を象徴しているようでした。
【ガクシャとゲイシャ】_f0003539_146449.jpg


by cafejien | 2006-01-14 01:50


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