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2005年 12月 28日

【カフェの時間】

‥想像の世界を愉しむことができる大人のための時間。
<例のコラム>
 月曜日は大分、火曜日は有田、そして本日水曜日は熊本に
出かけていました。いよいよ今年もあと4日で終わりです。それ
ぞれ仕事の打合せなので、すべてとんぼ返りなのですが、熊
本では美味しいイタリアンレストランでパスタを食べたので、ち
ょっと得した気分でした。出てきた野菜スープを一口食べてとて
も懐かしい味わいがしたので「デーブスレストラン?」と連れて
きてくれた友人に尋くと「そう、デーブスレストランに関係のある
人がやってるんだって」という返事。一昔前に熊本で人気のあ
ったレストランの〝血〟が流れていたのです。
 味は正直。人から人へ技は継承され、味の系図とも言える物
語が垣間見えてきます。
 食事処とともに、心を癒してくれる物語があるのがカフェです。
カフェ・コワンはもちろんですが、僕の大好きな場所の筆頭に
ランキングされるのがカフェ。一番のお気に入りは表参道にあ
るファーマーズ・テーブル(写真)です。1階がカフェで2階が生
活雑貨店という構成です。以前は店の前にグリーンショップが
あり、それがそのままお店のガーデンになっていたのですが、
今は残念ながらそこは駐車場になってしまいました。でも明る
い温室のようなカフェ空間は健在。風邪喉に心地よいユズ茶も
健在です。
 そこはとりたてて何か特別な物がある空間ではないのですが、
僕はそこに来ると、いつも無条件で心がくつろいでしまうのです。
そして気分をニュートラルにして、ひとり想像の世界へと入るこ
とができます。
 お気に入りのカフェには、人をお好みの想像の世界へ誘って
くれる不思議な力があるような気がします。コワンはフレンチカ
フェなので、いつもリアルタイムでフランスのラジオ局の番組が
BGMで流れています。だから、中には不思議なフランス時間を
愉しんでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 実はこの数日の間に、この「カフェの時間」を存分に愉しむこ
とができるコンセプトを宿した企画を提案しました。企画は受け
入れる側の事情次第なので実現するかどうかはもう少し時間が
経たないと決定しませんが、実現すれば実に心ワクワクする企
画です。乞うご期待!!
 でも来年3月には東広島市でプロデュースしている「お野菜が
美味しく食べられるダイニングカフェ」がオープンします。こちら
もお楽しみ!
 来年は、もっともっと想像の世界で遊ぶことができる「カフェの
時間」を僕自身も愉しみたいと思います。
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by cafejien | 2005-12-28 22:13
2005年 12月 24日

【キッシュ】

…パイ生地で焼き上げた、おかずともお菓子ともとれる
食べ物。素朴な美味しさに注目したい。
<例のコラム>
 キッシュというのは、フランスはロレーヌ地方や地中
海沿岸で誕生した料理です。パイ生地の中に、卵や生ク
リームを加えて、それに好みの野菜などをプラスしチー
ズなどをのせてオーブンで焼き上げるのが一般的ですが、
どうも僕はパサパサとした食感のある食べ物が苦手で、
今まであまり好んで食べたことがありませんでした。
 ところがカフェ・コワンの齋藤さんの奥様、愛子さん
がつくるキッシュは実に美味しく食べられるのです。ジ
ャガイモなどの具がたっぷりと入っていてジューシーな
のが美味しさの原因です。パサパサしていないので、喉
ごしもよく、すんなりと食べられます。
 僕と同じようにキッシュなどの料理がパサパサ感があ
ってあまり受け付けないという日本人は多いのではない
でしょうか。それはたぶん、日本人は噛めば噛むほどや
わらかでジューシーになるご飯を食べ慣れた人種だから
だと思います。そんな理由から、あまりパン食を好まな
いという人は意外に多いのではないかというのが僕の推
論です。
 同じような理由でピザなどもパサパサ感があるから嫌
いという日本人も多いのでは?
 日本でピザやキッシュなどをもっと流行らせたいと願
っている方は、そこら辺を工夫してみたらいかがでしょ
う。つまり、ジューシーな素材感を大切にしたレシピ開
発を念頭に描くのです。僕は料理の専門家ではありませ
んが、案外、こんなことがヒントになるのかもしれませ
ん。実際に僕は愛子さんが焼くキッシュなら毎日でも食
べたいと思うくらいですから。
 コワンに来たOLさんはカウンターの上に置かれたキッ
シュを見て、「うわー美味しそう!」というのがお決ま
りの第一声です。第二声が「今日は何のキッシュですか
?」。こう来ると、いつものお馴染みさんです。
 今夜はクリスマスイブ。美味しいキッシュで家族のパ
ーティを盛り上げたいという方は、ぜひコワンのジュー
シーなキッシュを召し上がれ!!
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by cafejien | 2005-12-24 01:34
2005年 12月 23日

【カウントダウン】

…予定終了に向けて数字を数えること。「歳を取る」と同義
語でもある。
<例のコラム>
 階段を登っているとき条件反射のように段数を数えている
ことはありませんか。僕はよくあります。無意識のうちに足
下の階段を見つめながら「15、16、17・・・・」と登
ってきた段数をカウントしているのです。住み慣れた自宅や
使い慣れた歩道橋の階段だと、いちばん上にたどり着いた段
階で「○○段だな」といつもと同じ段数を確認したりします。
それは同じ階段なのでわざわざ段数を数える必要などないの
ですが、無意識のうちに数えています、まるで今そこに居る
ことが夢ではないことをテストでもするように。
 このカウントをとるという作業を意識的にすることがあり
ます。それがカウントダウンです。僕の場合、何かを待って
いるときにこの作業を行うことが多いようです。だいたいは
頭の中で「10、9、8、7・・・」と10カウント制でカ
ウントダウンしています。
「あの人はもうすぐやってくる、10、9、8、7・・」
「もうちょっと我慢したらカミサンのご機嫌もなおるだろう、
10、9、8、7・・・」
「隣の座席に間もなく絶世の美女が腰掛ける、10、9、8、
7・・・」とまあ、こんな案配ですが、ほとんど100%の
確率でそれらの希望的観測型カウントダウンは外れてしまう
のです。
 しかし今までに一度だけこのカウントダウンがぴったり当
たったことがありました。
 まだ初々しい高校生の頃です。自宅の茶の間で僕はガール
フレンドからの電話を待っていました。8帖ほどの茶の間に
は家族全員が揃っていました。ちょうど夕飯が終わった後く
らいでした。三十年ほども昔のことですから、電話はダイヤ
ル式の黒です。やがて約束の時間が近づいてくると、僕はテ
レビを観ているふりをしながら、頭の中で「10、9、8、
7・・」とカウントダウンしていました。すると、「・・3、
2、1、0」でジリリリリーンと電話が鳴ったのです。僕の
心臓がドドドクン!と高鳴る音が茶の間中に響き渡ったのは
言うまでもありません。僕は慌てて電話に出て顔を真っ赤に
して・・・・どんな会話をしたのかまったく覚えていません。
カウントダウンが正確に当たったのと、女の子との会話が家
族全員に聞かれて恥ずかしいという思いで頭はもう真っ白だ
ったのです。
 今でも僕はときどき意識的にカウントダウンをしています。
もしかしたらそれは、高校生の頃のうぶな体験が愛おしくて、
できればもう一度若い感性を取り戻したくて、そうしている
のかもしれません。
 そうそう、最近は階段を登るときにもカウントダウンをし
ています。後何段登ったら階段を登り切るのか、「10、9、
8、7・・・」「10、9、8、7・・」10カウントを何
度も繰り返すのです。それって、ただ歳をとったということ
でしょうか。
 もうすぐ年の瀬。今年も幸福な気分で一杯やりながら除夜
の鐘に合わせてカウントダウンしつつ、静かに歳をとりたい
ものです。
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by cafejien | 2005-12-23 14:44
2005年 12月 19日

【バーチャル】

…現実感のない都会の空気。劇場化した社会にただよう軽い空気
感。
<例のコラム>
 師走というのに大事件! いつものように大手町からコワンに
向かって歩いているとビルの谷間に人だかりができていました。
報道陣もつめかけ、何人ものレポーターがカメラの前でマイク調
整をしています。3台ほど停車したパトカーの前には野次馬が集
まり、それを制するように何人もの警官が険しい表情で仁王立ち
しています。何の事件だろう? 救急車も来てるし、誰かが大き
な声で何かの指示を出しているし・・・・・。
 しばらくその騒然とした様子を見守っていた僕は、やがて、あ
ー、なるほど! と気づいたのでした。よーく見るとカメラテス
トを繰り返す報道陣らしき人々のはずれには、ビルの軒下に座り
込んだなんとも楽しそうな面々がいるではありませんか。その面
々の前にはクレーンが置いてあります。あれは撮影で使用するク
レーンだなー。群衆の姿をクレーンの上から撮影するのか? な
んとも大掛かりな撮影じゃないか、まるで映画のワンシーンでも
撮るかのような・・・。そ、そうか!あれは映画かテレビドラマ
の撮影なんだ!
 指示を出す大きな声は、助監督らしき人が現場の役者たちに動
きの指示を出している声なのでした。
 東京では、このように映画やテレビドラマの撮影現場によく出
くわします。僕が遭遇しただけでも、恵比寿では江角マキコが、
銀座では菅野美穂が出ていたテレビドラマの撮影をしていました。
さて、この“大事件”にはいったいどんな役者が出演しているの
でしょう。
 それにしても、警官やマスコミ関係者、野次馬たちはなんとも
自然な雰囲気でビルの谷間に結集しているではありませんか。傍
目には、本物の事件なのか、想像上の事件なのか区別のつけよう
もありません。東京にはそんなバーチャルな空気感がいつもただ
よっています。
 もしかしたら新橋駅前でワイドショーの取材に応えるオジさん
たちも本当はエキストラの面々で、B級映画のワンシーンを、そ
れと知らず僕らは観せられているのかもしれません。
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by cafejien | 2005-12-19 22:35
2005年 12月 07日

【猫の葬儀屋】

…偉大なる自然の循環。
<例のコラム>
 忘年会のシーズンです。先週は僕も東京、大阪で忘年会を
行い、今週は福岡で開催します。今年の忘年会は、来年へむ
けてのメッセージも多くはりきっていますが、会場の外へ一
歩出れば、そこには冷たい巷の風が舞い起こっているのでし
た。飲屋街の街角には酔いつぶれた人が路面にへたり込んだ
りしています。ああならないよう気をつけようと泥酔氏の横
を通り抜けようと歩いていくと、泥酔氏の横に死んだ猫が横
たわっているのでした。飲屋街だし、忘年会の途中なので何
もできなかったのですが、僕にはそれが心残りでなりません。
 思えば、今年はよく猫の亡骸に出会いました。車を停めて
歩いていく途中で女子中学生が道の真ん中に立って路面を覗
き込んでいるので声をかけたら、そこには小さな亡骸が一つ
横たわっていました。
「どうしたの?」と訊くと、
「道を渡ってるときに車にはねられたんだと思います」
 女子中学生は、その亡骸を前にどうしたらいいのかとその
場を立ち去れないでいたのでした。
「道の真ん中に置いておくと、また車にひかれるから、端に
移動させようね」と僕は言って、猫に触れると、それはまだ
生暖かく、事故が起こってからそんなに時間が経過していな
いのが解りました。
 猫を道の端に移動させ、そのまま放置するのも可哀想だし、
かといって何処にも連れていきようがないので、道に面した
住宅の方にお願いして保健所に電話をしてもらうことにしま
した。歩く方向が同じだったので、その女子中学生と話しな
がら歩いていくと、その子が僕の娘の後輩だと解り、何とな
く心が暖かくなる思いでした。
 それからしばらく後のことですが、自宅近くの大きなクス
ノキの下に集まり、涙を流している家族と出会いました。僕
にはすぐにピンと来たので近づいて声をかけました。
「何を埋めているんですか?」
 するとお母さんらしい初老の女性がこたえました。
「うちの猫なんですよ。元気だったのに、それが・・・」
 後はもう声になりませんでした。おそらく社会人と思える
年齢のお子さんも二人ほどいらっしゃいましたが、全員が泣
いていました。家族同様の猫だったのでしょう。
 僕はお悔やみを言って、そこを離れました。そのクスノキ
の根元には、実はもう一匹猫が眠っていたのですが、その場
所をうまい具合に避けてお墓を掘ってくれたのでしょう。
「他に何か埋まってはいませんでしたか?」という僕の質問
にお母さんは怪訝そうな顔をしながらも顔を横にふったので
した。
 その場所に僕が猫を埋めたのは、その約1年ほど前のこと
でした。車にはねられ硬直した亡骸を発見して可哀想だった
ので、そのクスノキの根元に埋葬したのです。
 その大きなクスノキの下には、おそらく何十匹という数の
猫が眠っているのではないでしょうか。そこならば安心して
眠り続けることができるという大らかな大気を感じさせる場
所なのです。
 クスノキは猫の葬儀場でもあり、土葬場でもあり、お墓で
もありました。その大樹の横には公園があって子供たちの笑
い声が絶えないので、墓参者にも事欠かないというおまけま
で付いています。
 僕には、そのクスノキが、猫の葬儀屋さんのような気持ち
になってくるのでした。
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by cafejien | 2005-12-07 14:15
2005年 12月 05日

【吉村順三】

…本当の意味で「先生」と呼ぶべき建築家。吉村派と言えば、
居住性を重んじる建築家を指す。
<例のコラム> 
 東京藝術大学の大学美術館で開催されている「吉村順三建築
展」に行ってきました。住宅から宮殿まで幅広い建築物の設計
をされた吉村先生の設計思想を感じることができ、あらためて
建築デザインの魅力を発見した思いです。
 中でも僕が心惹かれるのは「軽井沢の別荘」や「俵屋」、
「ポカンティコヒルの家」であり、僕自身のデザイン志向は、
ベーシックな直線的ラインを大切にすることで、外部を取り込
むことのできる情緒的な空間づくりが好きなのだと一人納得す
るのでした。
「建築家として、もっとも、うれしいときは、建築ができ、そ
こへ人が入って、そこでいい生活がおこなわれているのを見る
ことである。日暮れどき、一軒の家の前を通ったとき、家の中
に明るい灯がついて、一家の楽しそうな生活が感じられるとし
たら、それが建築家にとっては、もっともうれしいときなので
はあるまいか」という吉村先生の言葉に、僕らがめざしている
「幸福になる家づくり」は正しい方向を向いていると確信。来
年はもっともっと、その方向を力強く打ち出していこうと思い
ました。
 吉村障子と呼ばれるディテールもシンプルでよかったです。
框と組子の見附をそれぞれ18ミリで統一し、見込を30ミリに
した障子は耐震性をも兼ね備えているという解説は、大阪の建
築家アルキメラの山田さんを思い出しました。確か山田さんも
組格子を間仕切り的に使っていたように思います。
 イサム・ノグチも同様、和的な障子だけれど、デザイン次第
ではインターナショナルな感性もただよいます。
 「吉村順三建築展」は12月25日まで開催されています。東
京メトロ千代田線根津駅から会場までは銀杏の葉が黄色い蝶の
ように舞い散る道を歩いて徒歩10分ほど。
 どうしても建築展へ行けないという方はカフェ・コワンにお
越しください。会場にて購入した「建築家吉村順三の作品とそ
の世界」と題された作品集をカフェに置いていますので、ゆっ
くりとご覧いただけます。
 写真は会場の看板ですが、中に「軽井沢の別荘」が原寸で描
かれています。会場に置いてある図面にも原寸で描かれたもの
が多くありました。ディテールを正確に施工者に伝えたいとい
う建築家の姿勢が垣間見えます。
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by cafejien | 2005-12-05 16:05