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2005年 11月 30日

【10・14】

…10月14日、もしくは人を酔わせる快い響きをもった悪戯
な言葉。
<例のコラム>
 10・14と書けば何の変哲もありませんが、これを英語で
読むとオクトーバー・フォーティーン。受け手のニュアンスも
変わってきます。
 オクトーバー・フォーティーンは今から20年以上も前に神
戸の北野町界隈にあったショップの名前です。どうしてその
名前になったのかは解りません。たぶん、10・14という月日
が何かの記念日だったことが由来するのでしょう。開店記念
日とかオーナーの誕生日とか。でもそれを英語読みしてみる
と意外に語呂や音感がいいので、そのままネーミングにした
のではないでしょうか。
 学生の頃、このオクトーバー・フォーティーンのポストカード
を使ったラブレターが僕に届きました。手紙の内容は「陰なが
ら思っています」的なものだったのですが、これを友人に自
慢して見せていると、なんとそのラブレターはクラスメートの
植田くん(もちろん男性!)が悪戯で出したものだったことが
判明したのです。大阪に住んでいた僕にわざわざ神戸の消
印付きで手紙を出すなんて、本当に手の込んだ悪戯でした
が、まんまと一杯食わされたわけです。
 でもその言葉の響きが好きだったので、今でも悪戯の思い
出とともに心に残っているのです。
 あの頃の神戸には他にキングスコートという複合店舗なども
ありました。これもあの頃の時代感があっていいネーミングだ
と思います。
 そのキングスコートの前辺りを歩いていると、元タカラジェン
ヌの鳳蘭さんが雑誌の撮影をしていて、学生だった僕と友人
に宝塚仕込みの薔薇色の笑顔を投げかけてくれました。北野
町がいちばん輝いていた頃のことです。
 誰もが心に残る名前やそれにまつわる思い出を持っている
のではないでしょうか。僕の最も得意とする本職はライターな
ので、絶えず「言葉の発明」を意識してモノ・コトを書いている
のですが、このネーミングは好きな作業の一つです。
 ネーミングは記号や旗印となり、人々の記憶という船を目的
とする港につなぎとめておくロープや錨の役割を担うのです。
 僕の記憶を、毎日が自由だった学生時代につないでくれる
符号のような10・14! コワンでカプチーノを飲んでいると、
不意にあの頃の友達と再会してみたくなりました。
 悪戯な植田くん、元気にしてるかい?
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by cafejien | 2005-11-30 00:59
2005年 11月 29日

【5】

…5もしくは縁起をかついだ数字。人は無意識のうちに好みの数字で
物事を選択する動物である。
<例のコラム>
 「男は心でいつも刀に手をかけている」というのが僕が描いている
頼りがいのある男性像です。今でこそカフェ・コワンなどとコジャレタ
ことをやっておりますが、これでも心のどこかにサムライを意識して
いるのです。
 その遠因ともいえるのが、若かりし頃の剣道修行です。実は、小学
校4年生から中学校の卒業まで剣道をしていました。小学6年生の
ときには市の代表として武道館で行われた全国大会に出場しました。
僕の生まれた人吉市は剣道が盛んな土地柄で、小学校の頃は市内
の剣道の道場の交流もよく行われていたので、養心館と清流館、そ
れに僕が所属していた小学校の剣道部を回って修行を積んだもの
でした。その剣道部は新しく赴任してきた山田先生というまだ若い男
先生が創部したもので、チャンバラ大好き少年だった僕は迷わず入
部したのでした。
 青井神社の秋の奉納試合がデビュー戦でしたが、そのとき対戦し
た上田くん(養心館)とはその後よきライバルとなり、さらにその後長
谷川くん(清流館)という「ヒョヒョヒョヒョー」という奇声型発声をする
ライバルが登場し、僕の剣道生活は実に充実したものになっていく
のでした。長谷川くんのタレに書かれた「長谷川」という文字を「なが
たにがわ」としばし本気で思い込んでいた記憶があります。そうそう
恒松くんという出籠手の得意な小柄な年下のライバルなどもいまし
た。武道館に遠征したのは、この面々に西峯くんという我が部の同
級生を含めたメンバーだったように思います。
 小学校のときからこのような鍛われ方をしたので、中学校に上ると
中学の部活で初めて剣道をはじめた先輩たちよりも腕が立ちました。
 剣道の段位は中学校の頃には初段しか受けることができなかった
のですが、僕はすぐにその試験を受け、見事、初段となったのですが
そのときの受験番号が「5」です。以来、5は僕にとって縁起のいい数
字となり、ことあるごとに5に関係する数字を選ぶようになりました。だ
からといってクジ運がいいということはありませんでしたが、なぜかい
つも縁起をかついでしまうのです。
 写真は最近買った竹刀です。運動不足解消のために買ったのです
が、時折ベランダで素振りをする程度です。腕に覚えはあるので、誰
かと対戦したくなくもないのですが、それはおそらく想像の世界のこと
で、実際に面をつけると、3分ともたず床にへたり込んでしまうのでし
ょう。「39」というのは竹刀の大きさを表す数字ですが、子供の頃に持
った「39」は随分と大きくもっと重かったような気がします。
 このような歴史的背景があるので「たそがれ清衛兵」も「秘剣、鬼の
爪」も「「蝉しぐれ」もすべて映画館で観ています。「蝉しぐれ」で父親を
切腹に追い込まれた若侍(染五郎)が道場で木刀を〝右側に置き〟居
合いの訓練をするのですが、その意味も解ります。今でも根っからの
チャンバラ好きなのです。
 そしてやはり数字絡みで何かを選ぶときには5を含んだ番号をチョイ
スします。昔の幸運が再び僕の上に降りてきますように、という願いを
込めて。
 あなたにはそんな数字はありませんか。
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by cafejien | 2005-11-29 00:43
2005年 11月 27日

【大手町】

…東京都千代田区大手町。東京駅、丸の内に近接するが、日曜日は閑散とした
寂しい都会。
<例のコラム>
 日曜日の大手町はひっそりとしています。東京メトロの大手町のホームでは
売店もお休みです。平日は一日中サラリーマンたちでにぎわう駅もこの日は閑
散としています。でもカフェ・コワンは営業中です。といってもカフェ部分はお休
みで家づくりのご相談にお応えするギャラリーコーナーのみのオープンです。
というわけでバリスタにてソムリエの齋藤さんも日曜はお休みです。小さなお子
さんと奥様の愛子さんと3人で家族の一日を愉しんでいらっしゃることでしょう。
 大手町駅には丸の内線、東西線、千代田線、都営三田線、半蔵門線がクロ
スしていて大変便利です。ただしそれだけのラインが集まっているので改札口
もうまく入らないと各ラインのホームからホームへと相当な距離を歩くことにな
ってしまいます。カフェ・コワンからはA1の入り口が一番近いのですが、そこは
丸の内線専用。よく利用する東西線や千代田線へは入ることができません。丸
の内線で大手町に帰ってきたときには迷わずA1の出口をめざすのですが、他
のラインを使うときにはA1へ向かうのはNGです。同じく千代田線には千代田線
で最適の出口(入り口)があります。(C1出口です)
 ラインがクロスすればするほど入り口の選択は重要になってきます。入り口次
第でラインも出口も異なってくるからです。これは、人生も同じ。あまりに複雑な
ラインを自分の中に描いてしまうと、どこで気持ちを出していいのか、そこならば
知識や心を入れてもいいよという場面でうまく入力できなかったりするものです。
つまりはシンプルが一番。
 大手町駅は、地下で、そのまま東京、丸の内につながっています。そこら辺が
この駅のただ複雑なだけでないダイナミックなところです。歩くだけで、いきなり
大手町から丸の内にワープできるのです。これは東京に不慣れなローカルサピ
エンス(田舎モノ)の単なる感想かもしれませんが、逆を言えば、あんまり広域と
は言えない場所にそれだけの施設や機能が詰め込まれているのが東京なので
しょう。
 カフェ・コワンはリマーク大手町というビルの2階にありますが、実は住居表示
は内神田1丁目です。神田西口商店街を歩いた先にあるのです。夏には江戸時
代を彷彿とさせる神田のお祭りがある土地柄ですが、交通の便がいい大手町に
近いので折にふれ大手町からのアクセスをご案内している次第です。
 今日は日曜日。いつもの都市の喧騒がうそのように消え去った大手町に足を運
んでみてください。
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by cafejien | 2005-11-27 12:15
2005年 11月 22日

ボジョレ・ヌーボー。

 ボジョレー・ヌーボーとはボジョレー地方で造られた新酒を意味
します。ヌーボーはフランス語の「新しい」の男性形容詞 です。ヌ
ーベルバーグは1958年頃からフランスで興った新しい映画の傾
向(直訳すると「新しい波」です)ですが、ここではヌーベルと言っ
て、女性形容詞が使われています。
 フランス語は、この男性と女性が随所に出てくるので一苦労です
が、やはり世界一美しい響きを持った言語ではないでしょうか。
 言葉はそれだけで人を惹き付けるプラスの磁力となり、また時と
して強迫観念を焚き付ける凶器にもなります。つまり、要注意です。
 ボジョレー・ヌーボーと同じく人を商品へと引き寄せる言葉にはバ
レンタインデーや「土用の牛」などがあります。これらの言葉がキャ
ッチフレーズとなって、ワインやチョコ、うなぎへと人々の気持ちを
誘うのです。
 コワンでもボジョレー・ヌーボーをご用意しています。ただしコワン
のワインは齋藤ソムリエ厳選のビオロジックやビオビナミという天然
系です。無農薬であったり酸化防止剤を使っていないこだわりのワ
インばかりなのです。
 ビオビナミに至っては月の満ち欠けを見て瓶詰めの日を決めるほ
ど。
 少量生産のこだわりのワインを気軽にご提供しているのがコワン
の特色なのです。齋藤さんによれば、今年のボジョレー・ヌーボー
は夏の猛暑もあって最高の出来とか。
 言葉は一人歩きをはじめ、11月を楽しく暮らす智恵を大勢の人の
頭上に振りまきます。
 渋みが少なくすっきりとしたワインを味わいたい方は、どうぞボジョ
レー・ヌーボーをお楽しみあれ!
 新鮮でちょっと渋い映画を観たい方にはヌーベルバーグの頃の映
画がお薦めです。ちなみに僕が好きなのは若かりしアランドロンが出
ていた「太陽がいっぱい」。新人ならではの残酷なほどの美しさに満
ちあふれたアランドロンは必見です。
◎ギャラリーでは『眺めのいい家展』開催中です(11月中)。
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by cafejien | 2005-11-22 22:19
2005年 11月 21日

クロスワード。

 カフェ・コワンへは東京メトロ大手町駅から徒歩10分程度です。
僕はいつもA4番出口から出て、鎌倉橋を渡りJR神田駅の西口商
店街から伸びる通りと直角に交わる地点で左に折れてカフェへと
向かいます。写真の川は鎌倉橋からのワンショットです。小さな魚
影は、鯉かボラ。いずれにしても汚れに強い魚です。沖縄市街の
川をテラピアが泳いでいたのを思い出しました。
 東京に居るときはいつもクロスワードパズルをしているような気が
します。何かのヒントを感じてはキーワードとなる言葉を発見し、都
市の喧騒に疲れては心を癒す言葉にたどり着くのです。どちらにし
ても東京は刺激的であることに違いはありません。
 神田橋から見えるよどんだ川はどこにでもある東京風景にすぎな
いように見えますが、最近僕は、この橋の上でいつも一人のホーム
レス氏を見ます。寒くなってきたので心配ですが、昼間は橋の下に
立って雑誌を読んだり歌を謳ったりしているホームレス氏。氏という
だけにおそらく男性だと思うのですが、その彼がどうしてその場所に
居るのか、こないだやっと理解できました。橋の上には都市高速が
走っているのですが、どうやら彼はその橋げたに設けられた照明を
利用しているようなのです。
 夕暮れ、大手町駅へ向かう僕が神田橋を渡っていくと、そこには橋
の中央に座り込んだ彼の姿がありました。彼は、橋げたの照明を頼
りに雑誌を広げていました。彼は何かの筆記具を持ち、雑誌に何かを
書き込んでいたのです。
 クロスワード! そう彼はクロスワードパズルに興じているのでした。
夕暮れの神田橋で一つの答えに向けて言葉を探すホームレス氏。彼
はいったいどんな言葉を探していたのでしょうか。そしてその言葉を見
つけることはできたのでしょうか。
 僕は夜の東京メトロへ歩きながら、また一つ心の隙間を埋める言葉
を発見したような気持ちになりました。
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by cafejien | 2005-11-21 22:20
2005年 11月 20日

カプチーノ。

 縁あってカフェのオーナーとなったものの、実は僕はコーヒー
が苦手です。飲むと胃が悪くなることが多いのです。一日に何杯
も飲むという人の気が知れません。いったいどんな頑丈な胃をし
ているのだろうと思うほどです。
 しかし学生の頃はよく「ブラック」で飲んでいました。ハードボイ
ルドとまではいかなくても、僕らの頃の学生時代って「甘く見られ
たくない」とか今で言う「クール」な一面を誇示したくて男はだまっ
てブラックコーヒーと相場が決まっていたのです。一日に何杯も
ブラックを飲み、その度に密かに「オエッ」としていました。
 そんな僕にとってカプチーノは救世主のような存在でした。ミル
クがたっぷりと入っているから胃にもやさしいのです。はじめてカ
プチーノを飲んだのは何処だったか忘れてしまいましたが、かつ
てのウインナーコーヒーとは格別に異なるどこかしらハイカラな
雰囲気を喉元で味わったものです。でも今までに一番カプチー
ノをいただいてスペシャルな気分になったのは表参道に面したイ
タリアンカフェでした。確かキディランドの近くの参道沿いのカフェ
でした。今はファッションブランドの立派なビルが建っています。
ミルクとエスプレッソの縞模様でハートが描かれていて、イタリア
男ってコーヒーまでラブコールの手段に使うのかと感心したもの
でした。
 カフェコワンは、齋藤さんというバリスタにしてソムリエなる賢人
とのコラボで運営していますが、その齋藤さんのつくるカプチーノ
が実は絶品です。写真は小熊を描いたものですが、他にも魚や
ウサギなどその日の気分でいろいろ描いてくれます。実に器用と
いう他ありません。
 でもはじめて齋藤さんのカプチーノを飲んだ僕は、ちょっと通ぶ
ってこんなことを言いました。
「齋藤さん、これすこしぬるいような気がするんだけど・・」
 すると齋藤さんは静かにこたえました。
「うちのカプチーノは本場イタリアの味を再現しているんですよ。ち
ょっとぬるく感じられるかもしれませんが、この温度がとても大切
なんです。エスプレッソコーヒーの一番おいしい温度55℃に合わ
せて牛乳を温めてつくっているんです。牛乳の甘味とエスプレッソ
コーヒーのコクが最大限にお互いを引き立てる温度でお召し上が
りいただいているんですよ」
 こうなればカプチーノはもはや料理です。僕は賢人の講釈に素
直に脱帽し、救世主のようなちょっと“温め”のカプチーノをいたく
のでした。
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by cafejien | 2005-11-20 23:01