カフェ辞苑

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2005年 11月 22日

ボジョレ・ヌーボー。

 ボジョレー・ヌーボーとはボジョレー地方で造られた新酒を意味
します。ヌーボーはフランス語の「新しい」の男性形容詞 です。ヌ
ーベルバーグは1958年頃からフランスで興った新しい映画の傾
向(直訳すると「新しい波」です)ですが、ここではヌーベルと言っ
て、女性形容詞が使われています。
 フランス語は、この男性と女性が随所に出てくるので一苦労です
が、やはり世界一美しい響きを持った言語ではないでしょうか。
 言葉はそれだけで人を惹き付けるプラスの磁力となり、また時と
して強迫観念を焚き付ける凶器にもなります。つまり、要注意です。
 ボジョレー・ヌーボーと同じく人を商品へと引き寄せる言葉にはバ
レンタインデーや「土用の牛」などがあります。これらの言葉がキャ
ッチフレーズとなって、ワインやチョコ、うなぎへと人々の気持ちを
誘うのです。
 コワンでもボジョレー・ヌーボーをご用意しています。ただしコワン
のワインは齋藤ソムリエ厳選のビオロジックやビオビナミという天然
系です。無農薬であったり酸化防止剤を使っていないこだわりのワ
インばかりなのです。
 ビオビナミに至っては月の満ち欠けを見て瓶詰めの日を決めるほ
ど。
 少量生産のこだわりのワインを気軽にご提供しているのがコワン
の特色なのです。齋藤さんによれば、今年のボジョレー・ヌーボー
は夏の猛暑もあって最高の出来とか。
 言葉は一人歩きをはじめ、11月を楽しく暮らす智恵を大勢の人の
頭上に振りまきます。
 渋みが少なくすっきりとしたワインを味わいたい方は、どうぞボジョ
レー・ヌーボーをお楽しみあれ!
 新鮮でちょっと渋い映画を観たい方にはヌーベルバーグの頃の映
画がお薦めです。ちなみに僕が好きなのは若かりしアランドロンが出
ていた「太陽がいっぱい」。新人ならではの残酷なほどの美しさに満
ちあふれたアランドロンは必見です。
◎ギャラリーでは『眺めのいい家展』開催中です(11月中)。
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by cafejien | 2005-11-22 22:19
2005年 11月 21日

クロスワード。

 カフェ・コワンへは東京メトロ大手町駅から徒歩10分程度です。
僕はいつもA4番出口から出て、鎌倉橋を渡りJR神田駅の西口商
店街から伸びる通りと直角に交わる地点で左に折れてカフェへと
向かいます。写真の川は鎌倉橋からのワンショットです。小さな魚
影は、鯉かボラ。いずれにしても汚れに強い魚です。沖縄市街の
川をテラピアが泳いでいたのを思い出しました。
 東京に居るときはいつもクロスワードパズルをしているような気が
します。何かのヒントを感じてはキーワードとなる言葉を発見し、都
市の喧騒に疲れては心を癒す言葉にたどり着くのです。どちらにし
ても東京は刺激的であることに違いはありません。
 神田橋から見えるよどんだ川はどこにでもある東京風景にすぎな
いように見えますが、最近僕は、この橋の上でいつも一人のホーム
レス氏を見ます。寒くなってきたので心配ですが、昼間は橋の下に
立って雑誌を読んだり歌を謳ったりしているホームレス氏。氏という
だけにおそらく男性だと思うのですが、その彼がどうしてその場所に
居るのか、こないだやっと理解できました。橋の上には都市高速が
走っているのですが、どうやら彼はその橋げたに設けられた照明を
利用しているようなのです。
 夕暮れ、大手町駅へ向かう僕が神田橋を渡っていくと、そこには橋
の中央に座り込んだ彼の姿がありました。彼は、橋げたの照明を頼
りに雑誌を広げていました。彼は何かの筆記具を持ち、雑誌に何かを
書き込んでいたのです。
 クロスワード! そう彼はクロスワードパズルに興じているのでした。
夕暮れの神田橋で一つの答えに向けて言葉を探すホームレス氏。彼
はいったいどんな言葉を探していたのでしょうか。そしてその言葉を見
つけることはできたのでしょうか。
 僕は夜の東京メトロへ歩きながら、また一つ心の隙間を埋める言葉
を発見したような気持ちになりました。
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by cafejien | 2005-11-21 22:20
2005年 11月 20日

カプチーノ。

 縁あってカフェのオーナーとなったものの、実は僕はコーヒー
が苦手です。飲むと胃が悪くなることが多いのです。一日に何杯
も飲むという人の気が知れません。いったいどんな頑丈な胃をし
ているのだろうと思うほどです。
 しかし学生の頃はよく「ブラック」で飲んでいました。ハードボイ
ルドとまではいかなくても、僕らの頃の学生時代って「甘く見られ
たくない」とか今で言う「クール」な一面を誇示したくて男はだまっ
てブラックコーヒーと相場が決まっていたのです。一日に何杯も
ブラックを飲み、その度に密かに「オエッ」としていました。
 そんな僕にとってカプチーノは救世主のような存在でした。ミル
クがたっぷりと入っているから胃にもやさしいのです。はじめてカ
プチーノを飲んだのは何処だったか忘れてしまいましたが、かつ
てのウインナーコーヒーとは格別に異なるどこかしらハイカラな
雰囲気を喉元で味わったものです。でも今までに一番カプチー
ノをいただいてスペシャルな気分になったのは表参道に面したイ
タリアンカフェでした。確かキディランドの近くの参道沿いのカフェ
でした。今はファッションブランドの立派なビルが建っています。
ミルクとエスプレッソの縞模様でハートが描かれていて、イタリア
男ってコーヒーまでラブコールの手段に使うのかと感心したもの
でした。
 カフェコワンは、齋藤さんというバリスタにしてソムリエなる賢人
とのコラボで運営していますが、その齋藤さんのつくるカプチーノ
が実は絶品です。写真は小熊を描いたものですが、他にも魚や
ウサギなどその日の気分でいろいろ描いてくれます。実に器用と
いう他ありません。
 でもはじめて齋藤さんのカプチーノを飲んだ僕は、ちょっと通ぶ
ってこんなことを言いました。
「齋藤さん、これすこしぬるいような気がするんだけど・・」
 すると齋藤さんは静かにこたえました。
「うちのカプチーノは本場イタリアの味を再現しているんですよ。ち
ょっとぬるく感じられるかもしれませんが、この温度がとても大切
なんです。エスプレッソコーヒーの一番おいしい温度55℃に合わ
せて牛乳を温めてつくっているんです。牛乳の甘味とエスプレッソ
コーヒーのコクが最大限にお互いを引き立てる温度でお召し上が
りいただいているんですよ」
 こうなればカプチーノはもはや料理です。僕は賢人の講釈に素
直に脱帽し、救世主のようなちょっと“温め”のカプチーノをいたく
のでした。
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by cafejien | 2005-11-20 23:01