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カフェ辞苑

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2006年 10月 05日

【風に吹かれて】

…五木寛之のエッセイ集のタイトル。昔の本を読む心とは・・・
<例のコラム>
 最近あまり本を読みません。読みたい本が見つからない
のと、自分が書くほうが楽しいからです。
 でも活字は好きなので古い本を飾っている本棚から何冊
かは取り出してきてベッドの横の机においています。
 五木寛之の「風に吹かれて」もその一冊。全ページが色
褪せた文庫本です。表紙をめくると作家の若い頃の写真が
載っていて、「あの人はやはり男前だったのだな〜」と頷
いてしまいました。
 47話ものエッセイから成っていますが、一つひとつは短
いので眠る前に数話ずつ読んでいます。エッセイの内容は氏
の振り返った日常とそれに対する思いで構成されています。
氏いわく「私は、私をめぐる当時の風俗についの表皮につい
て、その記憶について書きたいと思う。そして、また、現在
の私の漂流地点における個人的な感慨について書いてみたい」
とあります。漂流していると告白している割には、やはり格
好がいいな〜と正直思ってしまいます。
 僕らがリアルに認識しうる年上の世代というと、氏の世代
から団塊の世代までくらいでしょうが、この年上の世代の人
々は何事にも一家言があったように思います。ところが、昭
和32年に生まれた僕の世代となると、何事にも団塊の世代の
様子をうかがい、その失敗に見習って損をしないように生き
てきたように感じます。それは末っ子気質とでも言えるよう
な調子のいいもので、東大の安田講堂が陥落するのをテレビ
画面で観て育った絶対条件から身に染み付いたものなのだと
思います。もちろん僕らの下にも世代は続々と生まれている
のだから決して末っ子ではないのですが、それでも何か曖昧
ではあるけれど、不確かではあるけれど一つの時代の終わり
に生まれてきた者たちの甘えのような共通の体質がそこにあ
るように思えるのです。
 僕らも僕らの年上世代のように「オレは今、漂流している
んだぜー」くらい言い切っていいのかもしれません。でもそ
んなに格好よくないしな〜とか、思う前に飛んじゃっていい
のかもしれません。
 臆病風に吹かれながらも、すこしでも時代の表皮につめ痕
を残すことに専念しましょう。
【風に吹かれて】_f0003539_2094370.jpg


by cafejien | 2006-10-05 20:16


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