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カフェ辞苑

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2005年 12月 23日

【カウントダウン】

…予定終了に向けて数字を数えること。「歳を取る」と同義
語でもある。
<例のコラム>
 階段を登っているとき条件反射のように段数を数えている
ことはありませんか。僕はよくあります。無意識のうちに足
下の階段を見つめながら「15、16、17・・・・」と登
ってきた段数をカウントしているのです。住み慣れた自宅や
使い慣れた歩道橋の階段だと、いちばん上にたどり着いた段
階で「○○段だな」といつもと同じ段数を確認したりします。
それは同じ階段なのでわざわざ段数を数える必要などないの
ですが、無意識のうちに数えています、まるで今そこに居る
ことが夢ではないことをテストでもするように。
 このカウントをとるという作業を意識的にすることがあり
ます。それがカウントダウンです。僕の場合、何かを待って
いるときにこの作業を行うことが多いようです。だいたいは
頭の中で「10、9、8、7・・・」と10カウント制でカ
ウントダウンしています。
「あの人はもうすぐやってくる、10、9、8、7・・」
「もうちょっと我慢したらカミサンのご機嫌もなおるだろう、
10、9、8、7・・・」
「隣の座席に間もなく絶世の美女が腰掛ける、10、9、8、
7・・・」とまあ、こんな案配ですが、ほとんど100%の
確率でそれらの希望的観測型カウントダウンは外れてしまう
のです。
 しかし今までに一度だけこのカウントダウンがぴったり当
たったことがありました。
 まだ初々しい高校生の頃です。自宅の茶の間で僕はガール
フレンドからの電話を待っていました。8帖ほどの茶の間に
は家族全員が揃っていました。ちょうど夕飯が終わった後く
らいでした。三十年ほども昔のことですから、電話はダイヤ
ル式の黒です。やがて約束の時間が近づいてくると、僕はテ
レビを観ているふりをしながら、頭の中で「10、9、8、
7・・」とカウントダウンしていました。すると、「・・3、
2、1、0」でジリリリリーンと電話が鳴ったのです。僕の
心臓がドドドクン!と高鳴る音が茶の間中に響き渡ったのは
言うまでもありません。僕は慌てて電話に出て顔を真っ赤に
して・・・・どんな会話をしたのかまったく覚えていません。
カウントダウンが正確に当たったのと、女の子との会話が家
族全員に聞かれて恥ずかしいという思いで頭はもう真っ白だ
ったのです。
 今でも僕はときどき意識的にカウントダウンをしています。
もしかしたらそれは、高校生の頃のうぶな体験が愛おしくて、
できればもう一度若い感性を取り戻したくて、そうしている
のかもしれません。
 そうそう、最近は階段を登るときにもカウントダウンをし
ています。後何段登ったら階段を登り切るのか、「10、9、
8、7・・・」「10、9、8、7・・」10カウントを何
度も繰り返すのです。それって、ただ歳をとったということ
でしょうか。
 もうすぐ年の瀬。今年も幸福な気分で一杯やりながら除夜
の鐘に合わせてカウントダウンしつつ、静かに歳をとりたい
ものです。

by cafejien | 2005-12-23 14:44


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